重たい腰を上げて、ベッドがら降りる。
ぐだぐだしている間に、時計は12時を指していた。

ただ寝ていただけだからか、それとも気持ちの問題なのか
お腹は空いていない。

「6月2日…か。」

ぽつり、と漏らした声に、誰の返事があるわけでもなく
この家が静かな事を改めて実感した。

広い部屋、広い家、何もかも無意味。

俺が欲しいのはこんなものじゃないのに。
…そう思っても、本当に欲しいものの手に入れ方も知らない。

今持っているものの手放し方も知らなかった。

でも、大事なものは…知らなかったのに、
知らないまま、手放してしまった。

ふと、部屋のカーテンを開ける。
まぶしい光が差し込み、薄暗い部屋が明るくなっていく。

見上げると、雲ひとつ無い青空が広がっていた。